海中には私たちの目に見えない無数の生物と微生物が存在します。
最も一般的なのがクラゲによる刺傷性皮膚炎です。日本近海には約200種のクラゲが生息し、そのうち約30種が人間に有害な刺胞を持ちます。特にアンドンクラゲ、カツオノエボシ、アカクラゲは強力な神経毒を含み、刺されると激痛とともに線状の赤い腫脹が現れます。東京海洋大学の研究チームは、クラゲの刺胞が秒速14メートルという猛スピードで射出されることを解明しました。これは人間の反応速度を遥かに超える速さです。
次に多いのが「シーバザーズ・エラプション」と呼ばれる海洋生物幼生による皮膚炎です。これはクラゲやイソギンチャクの幼生が水着の内側に入り込み、摩擦によって刺胞が発火することで発症します。特に水着の縁やゴム部分で症状が顕著に現れるのが特徴です。フロリダ州の海洋生物学者が1950年代に初めて報告したこの症状は、現在では世界中の温暖な海域で確認されています。
ビブリオ・バルニフィカスをはじめとする海洋細菌も深刻な脅威となります。この細菌は水温20℃以上で活発に増殖し、小さな傷口から侵入すると急速に壊死性筋膜炎を引き起こす可能性があります。2022年には神奈川県の海水浴場で3件の感染事例が報告され、うち1件は入院治療が必要となりました。