プレースタイルにおいて、これほど両極端な左利きも珍しい。中村俊輔の左足は、ピッチ全体をキャンバスに見立てて美しい放物線を描く「魔法の杖」だった。ミリ単位の精度で味方の足元へ届けられるパスと、芸術的なフリーキック。彼は周囲を活かし、チームの歯車を完璧に噛み合わせることで輝いた。
一方で、本田圭佑の左足は、ゴールへ最短距離で突き進む「大砲」だった。相手ディフェンダーを力でねじ伏せ、強烈な無回転シュートでネットを揺らす。彼が求めたのは、組織の調和よりも、自分が決定打となること。この「曲線」と「直線」の対比こそが、当時の日本代表に強烈な緊張感と推進力をもたらしていたのだ。