夏の風物詩である土用の丑の日にうなぎを食べる風習。その発祥には、江戸時代の蘭学者であり発明家でもあった平賀源内が深く関わっているとされる説が最も有名だ。売れ行きが落ち込む夏場に悩んでいた近所のうなぎ屋から相談を受けた源内は、「本日、土用の丑の日」と書いた貼り紙を店頭に掲げさせた。当時、「丑の日に『う』のつく食べ物を食べると病気にならない」という伝承があったことから店は大繁盛。これが日本初のコピーライティングであり、現代に続く巨大な販促キャンペーンの始まりだったという話だ。
しかし、実は由来には諸説存在する。文人・太田蜀山人が関わったとする説や、単に春から夏にかけての過酷な労働に耐えるためのスタミナ源として重宝された歴史的背景など、単一の逸話だけでは語り尽くせない奥深さがある。時を超えて現代に受け継がれるこの知恵は、日本の食文化がいかに生活者の実利と結びついてきたかを象徴している。