夏に鰻を食べる習慣の起源を辿ると、江戸時代の天才学者でありコピーライターでもあった平賀源内の存在にぶつかる。商売に困っていた近所の鰻屋から相談を受けた彼が、「本日、土用の丑の日」と書いた貼り紙を店頭に出させたところ、店が大繁盛したという説はあまりにも有名だ。テレビの解説やNHKスペシャル「食のルーツ」といった番組でも度々取り上げられるこのエピソードは、日本最古のヒット企画と言っても過言ではない。
元々、季節の変わり目に体を労わる無病息災の願いを込めた伝統行事として親しまれていた暦の節目に、商人の知恵が融合した。今やユネスコ無形文化遺産にも登録された和食の文化基盤において、この知恵と食文化の結びつきは独自のエッセンスとして息づいている。