この言葉が一躍有名になったのは、2004年に公開されたスタジオジブリの映画『ハウルの動く城』です。劇中屈指の人気を誇る名場面、ハウル、ソフィー、マルクルの3人が朝食を共にするシーンで登場します。
火の悪魔カルシファーの強火で焼き上げた、分厚いベーコンと目玉焼き。山盛りのパンとチーズを前に、食欲旺盛なマルクルがフォークとナイフを手に持ち、勢いよく食べる直前に目を閉じて「うましかてを!」と短く祈りを捧げます。このセリフこそが、視聴者の記憶に強く残る名シーンの原点です。
宮崎駿監督は、作品内に無国籍でどこか懐かしいヨーロッパ風の街並みを描きつつも、登場人物の生活様式には日本古来の精神性や独自の文化を巧みに融合させています。キリスト教圏の「食前の祈り(Grace)」の仕草を取り入れながら、セリフには西洋の神への祈祷文を直訳するのではなく、日本語の響きとして奥深い「うましかて」を採用しました。この絶妙な言葉選びが、あのジブリ飯の圧倒的な美味しそうな描写をさらに引き立てています。