同じ工場、同じ職人の手によって作られたストーンであっても、氷上での挙動には一石ごとに微妙な「癖」が存在する。トップレベルのスキップ(司令塔)は、試合の序盤でその細かな個性を素早く見極めなければならない。
日本代表として世界を相手に戦うロコ・ソラーレの藤澤五月は、大会中のストーン選定と挙動把握の重要性を度々口にしている。曲がりやすい石、伸びやすい石。それらをチーム内で完璧に共有し、作戦に組み込めるかどうかが勝敗を分ける。極限のプレッシャー下で行われるのは、精密機械のようなショット精度と、石の個性を愛し理解する直感の対話なのだ。