ウグイスの代名詞ともいえる「ホーホケキョ」というさえずりには、明確な2つの生物学的目的が存在します。ひとつは繁殖相手となるメスを惹きつける「求愛」、もうひとつは他のオスに対して自分のテリトリーを主張する「縄張り宣言」です。「ホー」で周囲の注意を引き、「ホケキョ」で力強く自己の存在を誇示しています。
実は、この美しい「ホーホケキョ」を響かせるのは基本的にオスのみです。メスは繁殖期であってもさえずることはなく、巣の周囲でオスと連絡を取り合う際や警戒時に「チッチッ」とごく小さな声を漏らす程度にとどまります。目立たない羽色とともに、天敵から卵やヒナを守るための進化的な適応といえます。
ウグイスのさえずりが響く時期は、一般的に2月下旬から8月頃までの長い期間にわたります。春の風物詩というイメージが先行しますが、実際には初夏から真夏の繁殖シーズン終盤まで、山林や低木林で熱心にさえずり続ける姿が観察されます。