ウドのパートナーとなるのが、伝統の和え衣「酢味噌和え(ぬた)」である。ベースとなる味噌の選び方ひとつで、完成する料理の表情は劇的に変わる。ウドの繊細な白さと香りを引き立てるなら、京都風の上品な白甘味噌が筆頭候補になるが、信州系の淡色辛口味噌を使う場合はみりんと砂糖で甘みの厚みを補う必要がある。
辻調理師専門学校の古典的な調理理論によれば、基本の黄金比率は「白味噌 3 : 酢 1 : 砂糖 0.5 : 煮切りみりん 0.5」が理想とされる。酸味が立ちすぎるとウドの野生味が消え、甘みが勝ちすぎると後味がもたつく。すり鉢で味噌の粒子を極限まで滑らかに擦り合わせるひと手間が、口に含んだ際の一体感を生む。
決定的に重要なのは「和えるタイミング」だ。味噌と酢の塩分・浸透圧によって、ウドの水分は和えた瞬間から外へ滲み出る。食べる直前、まさに食卓へ運ぶ数十秒前に手早く和えること。これが、料理屋の小鉢のような水っぽさゼロの仕上がりを約束する鉄則である。