ネットの検索窓やコミュニティ掲示板で長年燻り続けているのが、「ウッディの声優が交代したのではないか?」という噂です。結論から言うと、劇場版長編アニメーション本編においてウッディ役の唐沢寿明が降板した事実は一切ありません。
この噂が定期的に浮上する背景には、明確な構造的理由が存在します。ディズニー作品では、本編映画と派生コンテンツ(ゲームソフト、知育玩具、一部のテレビCMやイベント音源)とで、キャスティング規約やスケジュールの都合上、異なる声優が起用されるケースが珍しくありません。実際に玩具の音声や一部短編では声優の辻谷耕史や小野塚貴人が代役を務めた実績があり、これらを耳にしたファンが「唐沢寿明が交代した」と誤認したことが発端です。
この現象は英語版でも完全に一致しています。本編映画ではアカデミー賞俳優トム・ハンクスが一貫して声を担当していますが、ゲームやトイ製品の音声収録は、トムの実弟であり声質が酷似しているジム・ハンクス(Jim Hanks)が長年担当しています。唐沢寿明と所ジョージ(バズ役)の黄金コンビによる日本語吹き替えは、本編映画における不変の象徴として堅持されています。
また、ファンの間で議論が絶えないピクサー裏設定に「ウッディの本名とフルネーム」および「アンディの父親の不在」があります。
ウッディの本名について、長年ファンの間では単に「ウッディ」として親しまれてきましたが、『トイ・ストーリー3』の監督を務めたリー・アンクリッチは、プレスインタビューにおいて「ウッディの完全な本名はウッディ・プライド(Woody Pride)である」と公式に明かしています。作中で名乗る場面はないものの、初期構想時から設定されていた正規のファミリーネームです。
さらに切ない裏設定として知られるのが、劇中で一切描かれない「アンディの父親」の存在です。初期ピクサーの重要人物だった故ジョー・ランフトが遺したとされるプロットによると、ウッディはアンディの実父が1950年代の幼少期に熱病(ポリオ)を患った際、奇跡的に処分を免れて保管されていた「世界に数体しか現存しない極めて貴重な試作品トイ」であり、父から息子のアンディへと形見同然に受け継がれたものとされています。スタジオ側はこの悲哀に満ちた設定について「公式の確定設定ではない」と一線を引いているものの、第2作でウッディが『ウッディのラウンドアップ』という伝説的テレビ番組の主人公人形であり、博物館が高額で買い取るほどの超希少品だった描写とも完璧に整合します。