見逃し三振が決まった瞬間、球審の敷田直人氏が体を鋭くひねり、左足を上げて両腕を漢字の「卍」のようにクロスさせる――。この強烈なコールは、単なる目立ちたがりやパフォーマンスから生まれたものではありません。
打者にとって見逃し三振は、バットを振れずにアウトになる最も悔しい瞬間であり、投手にとっては狙い通りの球でねじ伏せた最高の見せ場です。敷田審判員は、「ストライクかボールか際どい判定だからこそ、見逃し三振は誰が見ても一瞬でアウトと分かるように全身で表現する」というプロフェッショナルの矜持から、徐々にアクションを大きく研ぎ澄ませていきました。
本人は当初から「卍」を意図していたわけではなく、大きくダイナミックにストライクアウトを宣告するフォームを追求した結果、完成したシルエットが偶然にも漢字の「卍」に酷似していたというのが真相です。スタンドの最上段やテレビ中継の画面越しでも一瞬で判定が伝わる明瞭さこそが、このポーズの本質といえます。