館内で最も象徴的な存在といえば、1935年に建てられた木造建築「百段階段」だろう。99段の木製階段で結ばれた7つの部屋は、それぞれ異なる意匠が凝らされ、当時のトップクラスの日本画家や職人たちが技を競い合った最高峰の芸術空間だ。2026年の現在も、季節ごとに企画されるアート展や伝統工芸の企画展は、国内外からの来場者で熱気に包まれている。
単にガラスケースの向こう側にある美術品を眺めるのではない。部屋の畳を踏みしめ、重厚な木の香りを感じながら、天井画や欄間彫刻と同じ空気を吸う。この五感全体で味わう臨場感こそが、デジタル全盛の現代において人々が切望する「本物との出会い」なのだ。