竹雀の酒造りは、近代的で効率的な醸造技術へのアンチテーゼとも言える。小規模だからこそできる密度の高い手作業が、唯一無二のフレーバーを生み出す。
仕込み水と原料米のこだわり
酒造りの命である仕込み水には、池田山の地下から湧き出る粕川の伏流水を使用している。この水は適度なミネラルを含み、力強い発酵を促す。米は兵庫県産の山田錦や富山県産の五百万石に加え、地元・揖斐の契約農家が育てた米を厳選。精米歩合は60%前後を中心に、米そのものが持つ力強さを残す設計だ。
醸造の真骨頂:生酛・山廃と無添加酵母
竹雀の骨格を形成するのが、「生酛(きもと)」と「山廃(やまはい)」という伝統的な古典製法である。人工的な乳酸を添加せず、蔵の中に生息する自然の乳酸菌を取り込んで微生物の淘汰を待つ。さらに、市販の培養酵母を使用せず、蔵に付着している天然の酵母(蔵付酵母)の力だけで醸すタンクも存在する。これにより、単なる「甘い・辛い」では括れない、複雑で奥行きのある酸味が抽出される。
木槽搾り(きぶねしぼり)による優しい抽出
発酵を終えた酒醪(もろみ)は、現代主流のアコーディオン状の自動圧搾機(ヤブタ)ではなく、伝統的な「木槽(きぶね)」と呼ばれる木製の舟に酒袋を並べてゆっくりと搾られる。自重とわずかな重石の圧力で丁寧に酒を押し出すため、雑味が出にくく、液体に絶妙な空気感と丸みが宿る。