globeアルバム発売順一覧を時系列で辿ると、単なるヒット曲の羅列ではなく、小室哲哉のサウンドデザインの大胆な変遷と、それに伴走したKEIKOのボーカル表現の劇的な成熟が見て取れます。
globeオリジナルアルバム一覧は全10作品(ミニアルバム・企画盤を除く)に及びます。それぞれの時代背景とともに振り返ります。
1. 『globe』(1996年3月31日)— 社会現象となった衝撃のデビュー作
「Feel Like dance」「Joy to the love」「SWEET PAIN」「DEPARTURES」と、リリースするシングルがすべてメガヒットを記録する中でドロップされた1stアルバム。オリコン集計で史上初となる初動売上100万枚突破、累積413万枚以上を記録しました。ユーロビートやジャングルを取り入れた最先端のダンスビートに、KEIKOの澄み切ったハイトーンが乗るスタイルは、J-POPの構造そのものを根底から塗り替えました。
2. 『FACES PLACES』(1997年3月12日)— 荒涼たるグランジと内省の結晶
ミリオンセラー「Can't Stop Fallin' in Love」「FACE」を収録しつつ、表題曲「FACES PLACES」をはじめとするハードなディストーションギター、オルタナティブロックの手法が大胆に導入された2ndアルバム。ロサンゼルスでの過酷な合宿レコーディングを経て作られた本作は、前作の華やかさから一転、都会に潜む孤独や焦燥感を鋭く切り取り、小室哲哉globe最高傑作の筆頭候補として現在も語り継がれています。
3. 『Love again』(1998年3月31日)— 静謐なアコースティックと哀愁のダンス
タイトル曲「Love again」やドラマ主題歌「Wanderin' Destiny」を軸に、シンセサイザーの過剰な装飾を削ぎ落とし、メロディ本来の美しさを際立たせた3rdアルバム。派手さこそ前2作に譲るものの、KEIKOの情感豊かな歌唱力が際立つ玄人好みの1枚です。
4. 『Relation』(1998年12月9日)— 世紀末の終末感とドラマツルギー
「Brand New globe 4 singles」と銘打たれた4連続リリース(「wanna Be A Dreammaker」「Sa Yo Na Ra」「sweet heart」「Perfume of love」)を再構築したコンセプチュアルな4thアルバム。同年の日本レコード大賞を受賞した「wanna Be A Dreammaker」をはじめ、小室自身の精神的限界と世紀末のダークな空気が見事に昇華された濃密な音世界が展開されます。
5. 『outernet』(2001年3月28日)— 2ステップとデジタル社会への警鐘
約2年3ヶ月のインターバルを経てリリースされた5thアルバム。UKガラージや2ステップ、トランスを取り入れ、インターネット黎明期における人間関係の希薄化をテーマに据えた野心作です。「garden」や「tonight」など、後のトランス期へと繋がる実験的アプローチが随所に散りばめられています。
6. 『Lights』 / 7. 『Lights2』(2002年2月6日 / 2002年4月17日)— トランス期の最高到達点
ヨーロッパのエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の潮流をいち早く汲み取り、プログレッシブ・トランスとJ-POPの完全融合を成し遂げた連作。「Many Classic Moments」「genesis of next」といった壮大なスケールの楽曲が並び、KEIKOボーカル名盤評価において最高峰のパフォーマンスが記録されています。
8. 『LEVEL 4』(2003年3月26日)— クラブサウンドの極限へ
YOSHIKIの一時加入を経て制作された、より硬質でアンダーグラウンドなエレクトロニック・サウンドを追求した作品。「seize the light」や「get it on now feat. KEIKO」など、フロア対応の重厚なトラックが揃っています。
9. 『globe2 pop/rock』(2005年8月10日)— デビュー10周年の原点回帰
デビュー10周年を迎え、初期のポップ・ロックテイストを現代的にアップデートした9thアルバム。「Here I Am」に代表される、耳馴染みの良いバンドサウンドとKEIKOのストレートなボーカルが心地よい快作です。
10. 『maniac』(2006年3月23日)— 深夜のアンビエントと究極のプライベート音源
2枚組としてリリースされた現時点でのラスト・オリジナルアルバム。Disc 1にはダークアンビエントやディープハウス調の先鋭的な楽曲が並び、小室哲哉の極めてパーソナルな音作りが炸裂しています。商業的成功の枠組みから完全に解き放たれた、隠れた名盤の代表格です。