1950年代後半、日本の食卓に一大旋風を巻き起こしたのが渡辺製菓の「渡辺のジュースの素」だった。喜劇王・榎本健一が出演するテレビCMのフレーズは一世を風靡し、空き箱を持った子供たちが駄菓子屋へ走った。水さえあればどこでも清涼飲料水が作れる手軽さは、当時の日本社会にとって画期的なイノベーションだったのだ。
その後、缶飲料やペットボトルの普及によって一時市場は縮小したものの、近年の昭和レトロカルチャーの再評価によって事態は一変する。若者層にとって、自らの手で粉末を溶かして作る体験そのものが「新鮮でエモいコンテンツ」として受け入れられている。