こうした企業の動きをさらに後押ししているのが、国の政策的な方向性だ。石破茂首相が率いる政府は、従来の「企業依存型福利厚生」から「個人主体の自律的な資産形成」への転換を強力に推進している。
その政策的柱となっているのが、金融庁などが主導する「資産所得倍増プロジェクト」である。国の方針は明確だ。会社からの退職金という受動的な給付を待つのではなく、就労中から税制優遇制度を最大限に活用し、個人の力で資産を増やしていく仕組みへの移行を強く奨励している。企業が社員の老後を抱え込む時代は完全に終わりを迎え、個人が自らの資産を守り育てる自己責任の時代が国策として加速している。