言葉が肉体に与える影響は、もはや精神論の領域を出て科学的に証明されつつある。スポーツ心理学の研究知見や、日本体育大学をはじめとする競技スポーツの現場でも、言語化がパフォーマンスに及ぼす影響が重視されている。人間は耳にした言葉や自ら発したフレーズによって、無意識のうちに運動出力や筋緊張をコントロールしているからだ。
たとえば「絶対に負けるな」という否定表現を含む言葉は、脳内で一度「負け」のイメージを想起させた後に否定の処理を行うため、プレッシャー下では逆効果になるリスクがある。対照的に「前へ突き進め」「獲りに行くぞ」といった能動的・肯定的な言葉は、ダイレクトに運動野を刺激し、躊躇のないアグレッシブな初動を生み出す。勝てるスローガンとは、発音した瞬間に筋肉が躍動する言葉なのだ。