激しい動悸に見舞われた際、誰もが抱くのが「このまま心臓が破裂したり止まったりしないのか」という疑問です。結論から言えば、一般的な上室性頻拍そのものによる上室性頻拍 突然死のリスクは極めて低いとされています。その理由は、電気信号の異常が起きている部位の違いにあります。
臨床的に最も警戒すべきは、致死性不整脈に分類される心室性頻拍との決定的な違いです。心室性頻拍(VT)は、血液を全身へ送り出すメインポンプである心室そのものから異常信号が発生するため、心室が空打ち状態となり、急速に血圧が低下して「心室細動」という心停止状態へ移行する危険性を孕んでいます。一方、上室性頻拍はポンプ室(心室)より上部の心房や房室結節が震源地であるため、血流の拍出はある程度保たれ、直ちに命を奪うケースは稀です。
ただし、例外として「WPW症候群に心房細動が合併した場合(偽性心室性頻拍)」は、副伝導路を通じて心室へ無秩序な高速信号が伝達され、致死的な心室細動を誘発するリスクが存在します。以下の動悸や息切れの緊急性チェックに該当する症状がある場合は、迷わず救急車を要請してください。
- 意識の混濁・眼前暗黒感:脳血流が保てず、失神しかけている、あるいは完全に気を失った。
- 強い胸痛・胸部の締め付け感:単なる動悸だけでなく、冷汗を伴う激しい圧迫感がある。
- 血圧の急降下:家庭用血圧計で収縮期血圧(上の血圧)が90mmHgを割り込んでいる。
- 呼吸困難:横になっていられないほどの激しい息苦しさが持続する。