栄光の陰には、あまりにも壮絶な身体の悲鳴があった。若乃花の土俵生活は、常に怪我や病との隣り合わせだった。横綱昇進がかかる大事な局面においても、高熱や内臓疾患、さらには重度の関節障害に苛まれていたという秘話が残されている。
しかし、彼は休場という選択を嫌った。「土俵の上で死ねれば本望」と言わんばかりの鬼気迫る覚悟で土俵に上がり続け、満身創痍の体で勝ち星を積み重ねた。日本相撲協会の番付編成会議や横綱審議委員会を納得させたのは、単なる勝率の高さだけではない。どんな窮地に陥っても土俵に立ち続けるその超人的な精神力こそが、彼を最高峰の位へと押し上げた決定打だったのだ。