巻き肩の本質的な原因は、肩甲骨の位置が前にズレたまま固着することにある。この状態を招く主犯格とされているのが、胸の表面に広がる「大胸筋」とその深層に位置する「小胸筋」の緊張だ。前傾姿勢が続くと、これらの筋肉が縮こまったまま硬化し、肩関節を前方内側へと力強く引っ張り続けてしまう。
多くの患者を診察してきた整形外科専門医は、「背中側をほぐすだけでは巻き肩は解消しない」と指摘する。縮んだ前胸部の筋肉を適切に弛緩させなければ、いくら背筋を伸ばそうとしても骨格はすぐに元の歪んだ位置へと引き戻されてしまうのだ。専門的な知見を持つ理学療法士の現場でも、まずは前胸部の緊張を取り除くアプローチが最優先されている。