つけ置き洗いのベストな時間は、結論から言えば30分から最長でも2時間以内である。日常的な皮脂汚れや軽い黒ずみであれば30分〜1時間、蓄積した頑固な黄ばみや頑固な油汚れでも2時間浸ければ、洗剤の化学反応はほぼ限界値に達する。多くの人がやりがちな「半日放置」や「一晩漬け込み」は、効果が増大するどころかデメリットしかない。
長時間の放置が逆効果となる最大の物理的根拠は、「再汚染現象」にある。衣類から一度分離した皮脂汚れや不溶性の微粒子は、洗剤中の界面活性剤が作る微細なカプセル(ミセル)に取り込まれて水中に浮遊する。だが、放置時間が3時間を過ぎ水温が冷めてくると、このミセルの安定性が失われ、抱えきれなくなった汚れが再び繊維の隙間に吸着してしまう。結果として、洗う前よりもくすんだ色合いになり、繊維の奥深くに酸化した油分が閉じ込められる。
さらに、除菌や漂白の主役となる酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)は、お湯に溶かした直後から活性酸素を勢いよく放出し、最初の20分〜60分間で分解パワーのピークを消費する。6時間を経過した溶液中には漂白有効成分がほとんど残存しておらず、ただ冷め切った汚水に衣類を沈めている状態と変わらない。汚れを根こそぎ落とす秘訣は「長時間放置すること」ではなく、「効果のピーク時間内にしっかりと濯ぎへ移行すること」に尽きる。