ネット上の一部では「GR GTはスープラの単なる超高級版に過ぎない」「レクサスLCの後継車ではないか」といった誤認が見受けられます。しかし、これは車両の生い立ちに関する重大な見落としです。
GR GTを正しく理解する上で最大の鍵となるのは、FIA GT3レギュレーションに定められた「連続する2年間で最低200台以上のロードカーを生産・販売しなければならない」という公認取得ルールです。つまり、GR GTの市販化は「高い車を売って利益を出すため」ではなく、「世界最高峰のカスタマーGTレースで勝利するための必須条件」として進められているのです。
そのため、市販されるGR GTのコックピットは、一般的なラグジュアリークーペのように豪華絢爛なレザーや過剰なインフォテインメントで埋め尽くされることはありません。ドライビングポジション、スイッチ類のエルゴノミクス、ロールケージの逃げ加工、視界の確保に至るまで、すべてが「ヘルメットとハンス(HANS)を装着してサーキットを攻め込むプロフェッショナルな環境」を起点に設計されています。快適性を求めて購入すると手痛いミスマッチを起こす可能性がある点は、購入希望者が事前に理解しておくべき決定的なポイントです。