サツキとメイの家は、洋風の書斎が組み合わさった「和洋折衷の昭和レトロ建築」として設計されています。アニメーションの背景画や設定資料を基に、伝統的な大工技術を用いて実際に人が住める基準で建築されました。経年変化による味わいを出すため、柱や梁の木材にはあらかじめ風合いを出す加工が施されており、新築でありながらどこか懐かしい佇まいを醸し出しています。
間取りの中心となるのは、玄関から続く板の間、お父さんの書斎、茶の間、そして台所と風呂場です。映画冒頭でお父さんが仕事に追われていた洋館部分の書斎には、乱雑に積まれた考古学の専門書や資料、使い込まれた机やランプが所狭しと並び、今まさに部屋を出て行ったかのような息遣いを感じさせます。
奥へ進むと、畳の香りが漂う和室や、ちゃぶ台が置かれた居間が広がります。劇中でサツキがお弁当を作っていた台所には、かまどやレトロな調味料入れ、食器棚が並び、勝手口の土間からは裏庭へと抜けられる構造です。アニメで観たカメラアングルそのままの視界が現実の空間として成立している緻密な設計には、建築のプロも目を見張る完成度があります。