交代劇の直前、大谷自身はプレー続行を志願していたとされる。ダグアウト奥での短いやり取りの中で、指揮官デイヴ・ロバーツは本人の意志を尊重しつつも、最後は監督権限を行使して交代を命じた。「彼の意欲は痛いほど分かる。だが、我々の責務は彼を10月まで健康にプレーさせることだ」。指揮官は後の囲み取材でそう振り返っている。
スター選手が自らブレーキを踏むことは極めて稀だ。だからこそ、ベンチワークを司るリーダーが冷徹なストッパーにならなければならない。チームが首位争いを繰り広げる最中であっても、目の前の1勝とスーパースターの選手生命を天秤にかけ、迷わず後者を選んだ采配の重みがそこにある。