トラクターショベルを運用するにあたり、最も法的なトラブルや認識の齟齬が生じやすいのが「作業資格」と「公道走行免許」の二重構造です。重機の運転には、厚生労働省が管轄する労働安全衛生法に基づく作業資格と、警察庁・各都道府県公安委員会が管轄する道路交通法に基づく運転免許の双方が関係します。
1. 現場内で作業を行うための労働安全衛生法上の資格
敷地内や工事現場で土砂をすくう・積み込む作業を行う場合、機体質量(アタッチメントを含む機械の乾燥重量)によって必要な資格が厳密に分かれます。
- 機体質量3トン未満:「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育」(講習時間:12時間程度)の修了。
- 機体質量3トン以上:登録教習機関で実施される「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」(講習時間:保有免許に応じ14〜38時間)の修了。
技能講習を一度修了して修了証を取得すれば、ホイールローダーだけでなくブルドーザーや油圧ショベル(バックホウ)など、整地・運搬・積込み及び掘削用機械全般の作業資格を網羅的に得ることができます。
2. 道路を走行するための道路交通法上の免許
現場間を移動するなどの目的でナンバープレートを取得したトラクターショベルで公道を走る場合は、道路交通法上の免許が必要です。
- 小型特殊自動車:最高速度15km/h以下、長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.8m以下の基準を満たす小型機。普通自動車免許または小型特殊自動車免許で運転可能。
- 大型特殊自動車:小型特殊の規格を超える一般的なホイールローダー全般。「大型特殊自動車免許(大特免許)」の保有が必須。
公道を走行する際、作業資格だけを持っていても大特免許がなければ無免許運転(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われます。逆に大特免許を持っていても、現場で積込み作業を行えば労働安全衛生法違反となります。