本作の基本構造は極めてシンプルでありながら、圧倒的な独創性を誇ります。最後列の窓際の席に座る男子生徒・関俊成(せき としなり)が、授業中に教師の目を盗んで繰り広げる「超絶技巧の一人遊び」を、隣の席の女子生徒・横井るみ(よこい るみ)がひたすら目撃・実況するというシチュエーションコメディです。
関くんが繰り出す遊びのバリエーションと完成度は、もはや授業中の内職の域を遥かに超えています。机一面を使った精巧なドミノ倒し、消しゴムで作るチェスや将棋のドラマチックな駒劇、机の木目をコースに見立てた本格ゴルフ、さらには編み物や靴磨き、理科の実験さながらの仕掛けまで、その情熱はとどまるところを知りません。授業を聞く気は一切ないにもかかわらず、絶対に先生に見つからない隠蔽工作の技術も超一流です。
そして本作の真の主役とも言えるのが、隣で見つめる横井るみのリアクションです。「授業に集中しなきゃ」と焦りながらも、関くんの繰り広げるシュールかつドラマチックな世界観に引き込まれ、心の中で激しいツッコミを入れ続けます。時には関くんの遊びを邪魔しようとして逆に先生に怒られたり、関くんの作ったストーリーに涙したりと、彼女の表情豊かなモノローグこそが読者の爆笑を誘う最大のフックとなっています。