花粉症に悩む人々がトマトを口にした際、予期せぬアレルギー反応を起こすケースが急増している。この現象は花粉食物アレルギー症候群 (PFAS)や口腔アレルギー症候群 (OAS)と呼ばれ、花粉と植物性食物に含まれるアレルゲンタンパク質の構造が酷似しているために生じる交差反応だ。
日本国内で圧倒的多数を占めるスギ・ヒノキ花粉症や、北海道や東北地方に多いシラカンバ花粉症の患者は特に注意が求められる。トマトに含まれる主要な原因タンパク質の一つであるプロフィリン (Sola l 1)は、樹木や草本花粉のプロフィリンと酷似した分子構造を持つ。免疫系がこれらを同一物質と誤認し、過剰攻撃を仕掛けるのだ。
プロフィリンのような熱に不安定なタンパク質は、十分に加熱処理されたピューレや煮込み料理ではアレルゲン性が低下することもある。しかし、耐熱性を持つ脂質転移タンパク質(LTP)なども複合的に関与している場合、加熱加工品であっても激しいアレルギー反応を回避できない。