芽かき作業において、タイミングの選定はテクニック以上に重要です。ベテラン農家の間では「雨の日に芽をかくな」というのが普遍の鉄則とされています。
なぜ「晴れた日の午前中」でなければならないのか。その理由は植物の蒸散作用と傷口の自己修復能力に直結しています。晴天の午前中は太陽光によって光合成と蒸散が活発化し、維管束内の水分循環が旺盛です。このタイミングで脇芽を摘むと、折れた傷口から出た樹液が日中の日照と乾いた空気によって数時間でコルク化(乾燥被膜を形成)し、病原菌を遮断します。
反対に、雨天や曇天、夕方に作業を行うと、傷口が湿ったまま夜間を迎えることになります。空気中に浮遊するボトリティス菌(灰色かび病菌)や細菌が傷口の組織液に侵入し、茎を腐敗させる「軟腐病」などの致命傷を招く原因となります。
基本的な取り除き方は、ハサミを使わずに「指先」を使う方法です。脇芽の根元を親指と人差し指でしっかりつまみ、左右どちらか一方へ直角に倒すだけで、「ポキッ」と心地よい感触とともにきれいに外れます。道具を使わないことで、ハサミの刃を介したウイルス病(タバコモザイクウイルス等)の株間伝染を完全に遮断できます。