一方で、勝利の美酒に酔いしれるスタンドとは対照的に、試合直後からファンの間で激しい議論を呼んだのが6回表の継投判断でした。好投を続けていた先発投手をわずか82球で降板させ、ピンチを迎える前にリリーフ陣を投入した決断に対し、阿部監督采配ネットの反応は「早めの決断が功を奏した」「まだ引っ張るべきだった」と真っ二つに割れました。
記者席から見て取れたのは、ベンチ内で阿部監督が投手コーチと交わした極めて張り詰めた空気です。会見場に現れた指揮官は、低く落ち着いた声で「相手打線の巡り合わせと、打球の質が変わり始めていた。あそこは情を捨ててスパッと切るのがベンチの仕事」と言い切りました。公の場で見せたその表情には、批判をすべて背負い込む覚悟が滲み出ていました。
組織心理学において、リーダーが決断を下す際に陥りやすい罠として「サンクコスト効果(投じたコストへの未練)」が挙げられます。「ここまで好投してくれたから」という情緒的配慮を排除し、打者3人先のリスクを予測して先手を打つマネジメントは、冷徹でありながら現代野球における勝率極大化の王道です。結果としてマウンドに上がった中継ぎ陣が見事に無失点で切り抜けたことで、この決断は読売ジャイアンツ試合速報における最大の勝因として記録されることになりました。