最大のポイントは、使われているトマトの形状だけでなく「果肉の性質」と「種のまわりのゼリー質」にある。ホールトマトは、主に果肉が柔らかく種やゼリー部分が豊富なイタリア系のロングトマトを使用している。このゼリー質に強い旨味と自然な酸味が凝縮されており、じっくり煮込むことで濃厚なコクへと変化する。一方でカットトマトは、煮崩れしにくい丸型のトマト(ラウンド型)を刻んで加工されることが多く、果肉のしっかりした歯ごたえと爽やかな風味が特徴だ。
さらに、調理における煮込み時間の違いも見逃せない。ホールトマトは木べらでつぶしながら15分以上しっかり加熱することで、特有の旨味成分が爆発的に開花する。反対に、カットトマトは長時間の煮込みに弱く、加熱しすぎるとフレッシュな果実感が失われてしまう。サッと数分加熱するだけのソースにはカットトマト、じっくり旨味を育てるスープや煮込みにはホールトマトという使い分けが鉄則なのだ。