全国レベルでは佐藤や鈴木が優勢ですが、都道府県別苗字ランキングに目を向けると、地域固有の歴史的事件や藩政時代の政策による極端な偏りが顕著になります。
北東北(青森・岩手・秋田)の特異性:
青森県では全国順位60位前後の「工藤」が第2位に食い込み、岩手県では「佐々木」が第1位、秋田県では「佐藤」が全人口の約7%を占める絶対王者となっています。青森の「工藤」は、鎌倉時代に甲斐国から津軽地方へ入部した工藤氏一族の家臣団や領民が、主君の姓を拝領あるいは自称したことによる集積です。
西日本と九州の独自勢力:
西日本では「田中」「山本」「中村」が圧倒的シェアを誇ります。さらに鹿児島県では「有馬」「鮫島」「上原」など、薩摩藩独自の「門割(かどわり)制度」(農民を特定の区画=門に属させ、門の名称を姓とした制度)に由来する特有の二文字姓・地名姓が定着しています。
沖縄県における独自カルチャー:
沖縄県の苗字事情は本土と全く異なります。全国1位の佐藤や鈴木は極めて稀であり、「比嘉(ひが)」「金城(きんじょう)」「大城(おおしろ)」がTOP3を占めます。琉球王国時代の地名(間切・村)にルーツを持ち、薩摩藩の支配下に入った江戸時代以降、日本風の姓(前田、平良など)への改姓と復姓を繰り返しながら独自の姓名文化が形成されました。