この前代未聞のコンセプチュアルな歌詞を受け止め、優雅で疾走感あふれるメロディへと仕立て上げたのが作曲・編曲の穂口雄右である。『春一番』や『年下の男の子』など、グループの黄金期を築き上げた穂口は、一度は制作陣から離れていたものの、解散シングルにあたってファンの熱烈な要望と制作陣の総意によって呼び戻された。
当時、渡辺プロダクションとレコード会社のCBS・ソニーは、キャンディーズの有終の美を飾るべく最高峰のクリエイターを結集させていた。阿木から届いた「過去のヒット曲タイトルを網羅した挑戦的な詞」に対し、穂口は各楽曲のリズムやコード感の記憶を巧みにリフレインさせつつ、まったく新しい極上のフィリー・ソウル/ポップスへと昇華させる複雑なオーケストレーションを構築。ストリングスの躍動感とブラスの哀愁が交錯するサウンドは、アイドル歌謡の枠を完全に超越していた。
別れの曲でありながら、テンポは決して重々しいバラードではない。むしろ軽やかな16ビートに乗せて未来への一歩を寿ぐようなアレンジが施されている点に、3人を笑顔で送り出したいという制作陣の深い情愛が滲み出ている。