獄中結婚が選択される最大の現実的理由は、日本の法制度における「死刑確定者に対する接見・信書発受の厳格な制限」にあります。
刑事裁判の係争中(未決勾留時)であれば、接見禁止処分がついていない限り、知人やジャーナリストでも拘置所での面会が可能です。しかし、最高裁判所で死刑が確定した瞬間から身分は「未決拘禁者」から「死刑確定者」へと切り替わります。これにより適用される法令が「刑事収容施設法」に基づき、外部交通権が極端に絞り込まれることになります。
死刑確定者が面会や手紙のやり取りを許可されるのは、原則として「配偶者や直系親族などの家族」「正当な業務を行う弁護士」「再審請求手続きに直接関与する者」などに限られます。友人や熱心な文通相手であっても、赤の他人のままでは拘置所の所長判断によって面会が完全に遮断されてしまうため、関係性を維持し続けるには「法的な家族」になる道しか残されていないのが実情です。