大衆的な知名度を誇る『宙船』や『AMBITIOUS JAPAN!』を抑え、熱心なリスナーによる投票で圧倒的な得票数を集めたのが長瀬智也の完全自作曲『リリック』です。この現象は、TOKIOが単なる「アイドルグループ」の枠組みを完全に脱却し、本格的なロッククリエイター集団へと変貌を遂げていた事実を物語っています。
長瀬智也が自宅スタジオで紡ぎ出した『リリック』の奇跡
2013年2月にリリースされた46枚目のシングル『リリック』は、長瀬智也自身が主演を務めたドラマ『泣くな、はらちゃん』の主題歌として書き下ろされました。それまでのTOKIOは著名な外部作家からの楽曲提供が中心でしたが、本作では作詞・作曲・編曲のすべてを長瀬が主導。デモテープの段階から自宅プライベートスタジオでギター、ベース、ドラムの打ち込みまで緻密に構築されました。
「言葉にならない感情を、泥臭くてもストレートに音と言葉に落とし込む」という強い意志から生まれたメロディと歌詞は、メンバー各人の演奏技術とシンクロ。国分太一の繊細なピアノイントロから城島茂のエモーショナルなギターソロ、松岡昌宏の推進力あるドラムビートが重なり合い、バンドとしての最高到達点を示しました。
中島みゆきと魂の応酬が生んだ『宙船』
2006年のヒット作『宙船(そらふね)』の制作にあたっては、作詞・作曲を手掛けた中島みゆきから送られてきた仮歌デモテープがメンバーに大きな衝撃を与えました。長瀬智也は当時のインタビューにおいて、「みゆきさんの圧倒的な歌声の迫力に呑まれないよう、喉が千切れるほどの気迫でレコーディングに挑んだ」と述懐しています。
船木を漕ぎ出す力強さを象徴するヘヴィなギターリフと、自己責任と意志の強さを問う歌詞世界は、ドラマ『マイ★ボス マイ★ヒーロー』のヒットとともに小中学生から中高年層まで広く浸透。オリコンチャートで初登場1位を獲得した後、累計48万枚を超えるロングセラーを記録しました。
なかにし礼×筒美京平の黄金タッグ『AMBITIOUS JAPAN!』
2003年10月の東海道新幹線品川駅開業に合わせて制作された『AMBITIOUS JAPAN!』は、日本歌謡界の巨匠であるなかにし礼(作詞)と筒美京平(作曲)のペンによる記念碑的ナンバーです。JR東海のCMソングとして長年親しまれ、新幹線の車内チャイムとしても採用されたメロディは、約40万枚の売上とともに日本のビジネスパーソンの応援歌として定着しました。
松本晃彦による壮大なブラスアレンジと、松岡昌宏のハイハットワークが刻む新幹線の疾走感。歌謡ポップスの華やかさとロックバンドの躍動感が見事に融合した、2000年代J-POPの傑作です。