あの陽気でリズミカルな旋律は、決してゼロから生み出されたオリジナル曲ではない。原曲は1940年(昭和15年)に発表された『隣組』(作詞:岡本一平、作曲:飯田信夫)。太平洋戦争前の日本において、相互扶助や戦時体制のプロパガンダを目的として作られた国民歌謡であった。
「とんとんとんからりと 隣組」という親しみやすい七五調のメロディを、希代の作詞家・なかにし礼が大胆に再構築した。戦時体制の象徴だったリズムを、戦後最高のナンセンス・ギャグと祝祭感あふれる言葉遊びで見事に反転させたのである。重苦しい過去の文脈をカラフルな笑いへと塗り替えたこの作業は、日本のポピュラーカルチャー史上屈指の鮮やかな転換劇だったと言っていい。