田中直紀氏のルーツは、元陸軍少将で衆議院議員を務めた鈴木直人氏の息子の系譜にある。慶應義塾大学を卒業後、日本鋼管(現JFEスチール)に勤務するサラリーマンであった彼が政治の渦中へと飛び込んだきっかけは、田中角栄との出会いと眞紀子氏との結婚だった。
結婚によって田中姓を名乗ることとなった直紀氏は、1983年の衆議院議員選挙で旧福島3区から立候補し初当選を果たす。当時はロッキード事件の過熱により田中派への逆風が吹き荒れていた時代だ。自民党(自由民主党)公認の新人として出馬した彼は、巨大な政界の濁流の中で「角栄の血脈」を守るための防波堤としての役割を期待された。日本政治史においても、これほどまでに強烈な義父の光と影を背負ってスタートを切った政治家は稀有と言っていい。