番家天嵩のキャリアを語る上で絶対に外せない金字塔が、主演を務めた映画『SABAKAN / サバカン』だ。1980年代の長崎を舞台に、イルカを見るために冒険へ出る少年たちのひと夏を描いたこの作品で、彼は映画初出演にして初主演という重責を見事に果たした。
画面いっぱいに広がる青空の下、泥だらけになりながら自転車を漕ぎ、友達と笑い、涙を流す。どこか懐かしく、胸が締め付けられるようなノスタルジーを観客に与えたのは、彼の混じり気のない生命力そのものだった。計算された技術を超えたピュアなエネルギーは映画賞レースでも極めて高く評価され、国内外の批評家たちを唸らせた。日本映画界に「本物の怪物が現れた」と知らしめた瞬間である。