プライベートでの大きな転機となった結婚。この出来事もまた、村上という人間の深みを増す重要なピースとなった。かつては高円寺の飲み屋街を徘徊し、どこか浮世離れした空気を纏っていた男が、生活という現実と正面から向き合い始めたのだ。
しかし、所帯を持ったからといって彼の持つ独特の脱力感が損なわれたわけではない。むしろ、「家庭を持つ生活者」としてのリアリティが加わったことで、トークの解像度は格段に上がった。妻との他愛のない日常の摩擦や、生活の中で感じる小さな違和感を拾い上げる視線は、以前にも増して鋭さを増している。
独身時代の破天荒さと、結婚後に手に入れた地に足のついた視点。この二面性が同居しているからこそ、彼の言葉には嘘がなく、幅広い層の共感を呼ぶのだろう。