なぜあれほどの才能に恵まれながら、自らを滅ぼすような生き方を選んだのか。やすしを知る関係者は一様に「誰よりも寂しがり屋で、誰よりも純粋すぎた」と口を揃える。モーターボートレースに情熱を傾け、自らハンドルを握って水面を疾走したのも、極限状態のスピードの中にしか心の平穏を見出せなかったからかもしれない。
舞台の上で見せる完璧な漫才へのプレッシャー、そして老いや時代の変化に対する恐怖。繊細すぎる芸術家肌の魂は、素面の現実を直視することに耐えられなかった。酒は彼にとっての麻酔であり、同時に表現者としての炎を燃やし続けるための劇薬だった。