テレビ放送業全体が構造改革とメディアの多様化に直面するなか、番組作りの原点回帰を求める声は強い。過度なコンプライアンス意識や制作予算の制約により、角の取れた無難な番組が増えたと嘆かれる現代。その閉塞感を打ち破る鍵を握るのが、生々しい人間ドラマを引き出すベテランMCの求心力だ。
南原の司会進行には、決して演者を萎縮させない不思議な安心感がある。予定調和を嫌いながらも、最後には必ず笑いと感動の着地点へ導く舵取りの技術。それは、混沌とした生放送の荒波を何度もくぐり抜けてきた者にしか成し得ない職人芸だ。
「テレビは今、もう一度『人と人との体温』を取り戻さなければならない」。あるインタビューで南原が語った言葉は、岐路に立つテレビマンたちの胸を強く打った。彼が示す道筋は、斜陽と囁かれるメディアに明快な光を投げかけている。