1990年代初頭、藤あや子は演歌界の若き女王として君臨していた。ソニー・ミュージックレーベルズから放たれた『むらさき雨情』などのメガヒットにより、NHK紅白歌合戦の常連へと一気に上り詰めた彼女は、妖艶さと確かな歌唱力で日本中の大衆を虜にしていた。その圧倒的な美貌は、それまでの伝統的な演歌歌手像を鮮やかに塗り替えていく。
一方の木村一八は、TBS系ドラマ『毎度おさわがせします』で鮮烈なデビューを飾り、時代の寵児として脚光を浴びていた。天性の勘と鋭い眼光。だが、そのキャリアは常に危ういスリルと隣り合わせだった。全く異なる領域で頂点を極めつつあった二人が出会ったとき、運命の歯車は音を立てて回り始めた。