富山県氷見市で生まれ育った安孫子素雄(後の藤子不二雄Ⓐ)は、小学生時代に終生の相棒となる藤本弘(後の藤子・F・不二雄)と出会った。二人の運命を決定づけたのは、漫画の神様・手塚治虫の『新宝島』との出会いである。衝撃を受けた少年たちは自作の漫画を描き始め、やがて上京。伝説のアパート「トキワ荘」へと足を踏み入れることとなる。
トキワ荘には若き日の若手クリエイターたちが集い、昼夜を問わず情熱をぶつけ合っていた。二人は共同のペンネーム「藤子不二雄」として活動を開始し、小学館をはじめとする大手出版社で瞬く間に才能を開花させていく。しかし、その作風は二人の成長とともに明確な対比を見せ始める。王道のファンタジーとSFを極めたFに対し、Ⓐは人間の業や欲、そして社会の陰影を見つめる独自の眼差しを研ぎ澄ませていった。