リング上の荒々しいファイトスタイルとは対照的に、藤原喜明が長年情熱を注ぎ込んでいるのが陶芸家としての活動です。趣味の領域を遥かに超え、自身の窯を構えて土を練り、釉薬の研究を重ねて生み出される作品群は、プロの陶芸関係者からも極めて高い評価を受けています。
藤原が作陶において最も得意とするのは、無骨でありながら手によくなじむ酒器(ぐい呑みや徳利)や大皿、花器です。土の素朴な質感と力強い焼き締めの風合いには、彼が歩んできた波乱万丈の人生と、繊細な美意識がそのまま投影されています。東京都内のギャラリーで開催される個展には、往年のプロレスファンだけでなく全国から純粋な陶芸愛好家が詰めかけ、初日で展示作品の多くが完売するほどの人気ぶりを誇ります。
「土をこねているときは無心になれる。プロレスの関節技も陶芸も、力任せじゃなく相手(土)の声を聞くことが大事なんだ」と語る藤原。指先で土の呼吸を感じ取りながら創り出す器の数々は、彼にとってリングと同様に魂をぶつける表現の場となっています。