抽象論ではわかりにくいので、ここで最も基本的な例として f(x) = e^x、a = 0 の場合を考えます。2次までの近似式は次のようになります。 e^x = 1 + x + (x^2)/2 + R_3 このとき、ラグランジュの剰余項は R_3 = (e^c / 6)x^3 と表されます(c は 0 と x の間)。 例えば x = 0.1 のとき、近似値は 1 + 0.1 + 0.005 = 1.105。実際の e^0.1 は約 1.105170... なので、誤差はごくわずかです。剰余項の最大値は e^0.1 × (0.1)^3 / 6 ≈ 0.000184 程度となり、確かにこの範囲に収まっています。 このようにテイラーの定理の実用価値は、「近似したらどの程度の誤差が出るのか」を事前に数値で保証してくれる点にあります。大学数学でこの定理が必須とされるのは、単に多項式に置き換えるテクニックとしてではなく、その誤差評価の理論的な根拠として機能しているからです。
テイラーの定理「難解」の正体は剰余項にあり 大学数学の壁を突破する決定版解説