『タッチ』という作品の底底に流れるテーマは、亡き弟・上杉和也の残した巨大な足跡だ。高校野球の予選決勝直前に交通事故で命を落とした和也。達也と南の結婚や将来を考える上で、和也の存在を無視することはできない。
明青学園のグラウンドには、今も和也と達也が残した伝説が息づいている。単なるラブコメディの枠を超え、死者との対話や生者の罪悪感、そしてそれを乗り越える成長を描いたからこそ、本作は日本のアニメーション産業史に燦然と輝く名作となった。達也が南と結ばれるということは、同時に和也の想いをも背負い続けることを意味していたのだ。