上杉達也と茂野吾郎。野球漫画史に名を刻むふたりの大エースは、対極のパーソナリティを持ちながら、どこか似通った宿命を背負っていた。達也は亡き双子の弟・和也の夢を背負い、飄々とした態度の裏に凄まじい覚悟を秘めてマウンドに立ち続けた。吾郎は実父と育ての父の想いを胸に、孤独な異国の地や度重なる故障にも屈せず、文字通り野球に命を捧げた。
彼らが投げ込んだ渾身のストレートは、次世代のキャラクターたちに異なる形で受け継がれている。『MIX』の投馬が見せる涼しげな剛速球には達也の面影が色濃く漂い、『MAJOR 2nd』の大吾がキャッチャーとして磨き上げる洞察力には、父の荒波に揉まれて培われた不屈のDNAが息づく。「天才の孤独」から「凡才の連帯」へ。エースひとりの肩にチームの命運を乗せていた時代から、チーム全体の有機的な結びつきを描く物語へのシフトは、スポーツ漫画というジャンルの成熟を象徴している。