痰が喉に張り付いたとき、多くの人が反射的に行う行動が「ンホンホ」「カッ」と力を込めて咳払いをすることです。しかし、専門医が口を揃えて警告する最大の盲点がここにあります。
力任せの咳払いは、喉の粘膜を強打し、微小な出血やさらなる浮腫を引き起こす自傷行為に等しいという事実です。
咳払いをするとき、左右の声帯は超高速で強く打ち付け合わされます。その衝撃によって粘膜が損傷すると、身体は傷口を修復・保護しようとしてさらに粘液を分泌します。その結果、「違和感があるから咳払いをする → 粘膜が傷ついてより粘度の高い痰が出る → さらに咳払いをする」という絶望的な悪循環(Vicious Cycle)が完成してしまうのです。
また、「市販の風邪薬を飲んでおけばそのうち治る」というのも重大な誤解です。一般的な総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン成分は、鼻水を止める作用がある反面、気道や口内の粘膜を強烈に乾燥させる副作用を持ちます。乾燥した喉では痰の水分がさらに奪われ、まるで乾いた糊のように粘膜へ強固にへばりついてしまいます。原因を見極めずに安易な総合薬に頼ることは、火に油を注ぐ行為になりかねません。