タンチョウは全長約140cm、両翼を広げると約240cmにも達する日本最大級の野鳥です。大陸(ロシア極東や中国東北部)の個体群が長距離の渡りを行うのに対し、北海道に生息する個体群は釧路湿原、根室、十勝、オホーツク沿岸などを生活圏とする「留鳥」として独自の生態を築いています。
タンチョウの生態を語る上で欠かせないのが、「一度結ばれたつがいは一生添い遂げる」という強い一夫一婦制の習性です。春になると湿原の奥深くで互いに鳴き交わす「鳴き合い」や、優雅に跳躍する「求愛ダンス」を通じて絆を強固にし、パートナーが命を落とさない限りペアを解消することはありません。
産卵数は通常1クラッチあたり2個。約32日間の抱卵はオスとメスが交代で行い、外敵が近づけば双方が命がけで巣を守ります。孵化したヒナはわずか数ヶ月で成鳥並みの大きさに急成長しますが、親鳥は秋から冬にかけて給餌場や越冬地でも子を連れ歩き、採食方法や外敵への対処法を徹底的に教え込みます。この綿密で献身的な子育て戦略こそが、過酷な自然下で長寿の血統をつなぐ原動力となっています。