現在でもファンの間で熱く議論されるのが、無惨の真の心理と裏設定に関する考察だ。王道の少年漫画であれば、主人公が最終ボスに完全な勝利を収めて終わるのが定石だろう。しかし、作者の吾峠呼世晴はあえてその王道を打ち破り、主人公に敵の遺志を背負わせるという痛烈な展開を選んだ。
無惨という男は、最後まで「永劫の存在」を渇望していた。己の肉体が滅びる際、自らの細胞を不滅の記憶として未来へ繋ぐため、最も強靭で美しい生命力を持つ炭治郎を後継者に指名したのだ。人間の想いの力(絆)を否定し続けた無惨が、最期に「想いの継承」にすがったという皮肉。このテーマの多面性こそが、今なお考察が絶えない最大の理由と言える。