東京・銀座と聞けば、高級ブランドやフレンチの名店を思い浮かべる人が多いだろう。しかし銀座には、華やかな大通りとは打って変わった、もうひとつの顔がある。銀座の三越百貨店の裏路地に、たけちゃんは静かに佇んでいる。派手な看板もなく、予約も受け付けない。それでも連日、開店前から行列ができる。
この店は1953年に創業し、創業者・水落武俊氏の愛称「たけちゃん」がそのまま店名になった。70年以上にわたって受け継がれてきた味と精神は、今も変わらない。家族三人で切り盛りするこの小さな焼き鳥店では、おじいちゃんシェフの手によって、丁寧に焼き上げられた鶏肉の串が次々と提供される。
たけちゃんは、焼き鳥・つくね・ささみ・きも・手羽先・皮といった多彩な串焼きで知られる、日本屈指の名店として評価されている。メニューはシンプルだが、その奥深さは計り知れない。英語メニューも用意されており、5本コース(2,200円)と8本コース(3,200円)の二択というわかりやすい構成だ。
串は一本ずつ順番に提供され、出来立てをすぐに食べることが求められる。熟練した高齢の職人が目の前で焼く様子を眺めること自体が、すでに一種の体験だ。観光客から地元の常連客まで、あらゆる人が肩を並べて同じ串をほおばる。その光景こそが、この店の最大の魅力かもしれない。
銀座屈指のレストランにふさわしい職人技を発揮しながら、料金は手頃に抑えられている。予約不可のため、できるだけ早めに並ぶことが推奨されている。席数はわずか20〜30席ほど。小さな空間に凝縮された、銀座の記憶がある。