文豪の孫として生きることは、決して平坦な道ではない。津島淳氏は、若くして政界に入り、青森の発展のために尽力してきた。しかし、どこへ行ってもついて回るのが「太宰治の孫」というレッテルだ。若い頃はその看板が重荷に感じられたこともあったという。
「政治の現場では、リアリズムが求められます。一方で、祖父の文学は極限のロマンティシズムと自己否定。この二つを自分の中でどう整理するか、ずっと悩んできました」と津島氏は明かす。だが、今回の書簡発見を機に、その葛藤は「受け入れ、活かすべき遺産」へと昇華されたようだ。血縁という呪縛を、地域を動かすエネルギーへと転換する覚悟が、彼の表情からは見て取れる。